The Hokkoku Shimbun ひと to みらい─石川の未来へつづく、石川の人のこと。

ISSUE#01

加速する人口減少。
私たちに今できることを考えていきます。

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金沢市が2年前から誘致施策を実施。

 人口減少対策は、基本的に「自然増」と「社会増」に大別できます。前者は死亡数を上回る出生数、後者は転出数を上回る転入数です。石川県では年間の死亡数と出生数の比率が4対3ほどで推移しており、どう頑張っても自然増の実現には長い道のりがかかるのは明らか。
 従って、社会増への注力が現実的かつ即効性も期待できることから、県はもちろん、県内の多くの市町がさまざまな施策を掲げ、首都圏など人口集中地域からのUJIターン促進に努めています。
 金沢市では、2015年4月に同市ならではの独自の施策をスタートさせ、成果を得ています。東京などで活躍するクリエーターの市内での事務所開設を支援する奨励金及び補助金の制度を設け、この2年間で6件の新事務所開設を実現しました。
 市はデザイン、デジタルコンテンツ分野のクリエーターやアーティストが集うエレクトロニックアートの祭典「eAT KANAZAWA」の開催を1997年から開始し、以降、確かな実績と人脈を築いてきました。新旧の文化がとけ合う金沢の魅力が徐々に参加者に浸透し、15年3月に北陸新幹線が開業して東京-金沢間の時間距離が大幅に短縮したことから、クリエーター誘致の助成制度を新設したのです。
 同制度では、①設備導入費、改装費、移転に係る運搬費、旅費及び印刷費を対象経費として、50万円を上限に助成する「事務所開設奨励金」と、②事務所家賃を対象経費に月額の1/4を、年間50万円を上限に2年間助成する「事務所賃貸借料補助」を用意。①②の同時適用も可能です。適用審査会で交付の可否を決定しており、市ものづくり産業支援課=電話076(220)2205=が申請窓口となっています。
 UJIターン促進というより、本来はデジタル分野での新産業創出・活性化の狙いのほうが色濃い施策ですが、単純にブランチ(支店)を開設するだけでなく、社員全員で事業所そのものが金沢に移転してくるケースもあり、家族を含めた移住者数は、誘致数6件の倍以上になっています。

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待機児童ゼロに驚きと喜び。

 この助成制度の認定を受けた事業所を取材しました。15年7月に東京都世田谷区から金沢市昭和町に移転した株式会社メタルレッドです。ウェブを中心とするプロモーション・プランニングやアプリ開発、映像制作を手掛け、ハリウッド映画の撮影に参画した実績も持ちます。
 同社の構成は、代表取締役の佐分利仁さん、社員の塚本光子さん、和泉俊樹さんの3人。佐分利さんと塚本さんはそれぞれ既婚者で、小さいお子さんもいる家族持ち。塚本さんは夫も金沢に支社のある企業に転職し、一家そろって引っ越しました。
 生活環境に恵まれた地方への移転は、何年も前からの検討課題だったそうで、佐分利さんは東京から金沢に拠点を移していた業界の先輩から参考になる話をいろいろ聞き、金沢移転を決意しました。実際に暮らしてみての感想を聞くと、「保育園・幼稚園が待機児童ゼロで、逆にこちらが園を選ぶことができたことに大変驚いた。しかも、歴史ある園が多く、ベテラン職員が少なくない点も安心できます」と佐分利さん、塚本さんは異口同音に語ります。地元の人間にとっては当たり前のことが、大都市圏との比較で大きな魅力となっているのです。

 「移転支援をいただいた金沢に、将来的には雇用の部分で貢献したいと考えています。金沢美大など“原石”を生み出す土壌が金沢にはあり、例えば、東京からの案件に取り組ませるなどして、グローバルレベルの技量を磨いてもらえれば」と佐分利さん。金沢ならでの地域特性に、東京で培われてきた高いレベルのノウハウとセンスが加わって生じる効果に今後、期待したいところです。

写真左から塚本光子さん、佐分利仁さん(代表取締役)、和泉俊樹さん=金沢市昭和町のメタルレッド
写真左から塚本光子さん、佐分利仁さん(代表取締役)、和泉俊樹さん=金沢市昭和町のメタルレッド
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